がん病態栄養専門管理栄養士
がん病態栄養専門管理栄養士とは
がん病態栄養専門管理栄養士とは、がんの栄養療法に関する専門的知識を有するとともに、研究や臨床で求められる高い倫理性、情報収集能力、対人関係形成能力、洞察力を合わせ持ち、がんサバイバーの身体機能の向上やステージに応じた栄養療法に関する高度な知識と技術を有する管理栄養士である。また、医療チームの一員として、がん患者への円滑な治療を推進すべく、栄養に関わる問題の解決策について多職種に対し提議、提案を行い、がん患者や家族に対する実践的な栄養指導を担うものである。
1)がん患者の栄養障害を適切に評価・予測し、がんの罹患部位や症状、手術療法、化学療法、放射線療法等、治療に伴う有害事象の軽減に向けて、個々に応じたきめ細かな栄養管理、栄養指導ができる。
2)治療中・治療後の薬物療法やリハビリテーション、個人の体質・、心理等を考慮した生活療養の指導を行うことができる。
3)がんの病態に応じた栄養素等の代謝を理解し、輸液・経腸栄養を含めた栄養の投与に関する提案と調整ができる。
4)がん患者における摂食・嚥下障害の発生要因に関する知識を有し、その食形態の提案と調整ができる。
5)緩和ケアに関する知識を有し、全人的な視点に立った支援ができる。
6)最新の栄養情報や臨床情報・ガイドライン等を、国内外のデータベースや文献から得て活用できる。
7) がんの予防や診断・治療における問題を抽出し、科学的に解析するとともに、新たなエビデンスの構築に向けて情報の発信ができる。
8)以上のような高度な知識及び技術を有する者として、いずれのステージにおいてもがん治療が効果的に継続できるように努めるとともに、実践内容の検証、改善及びその発信を通じて、がん栄養療法の向上に大きく貢献することができる。
がん病態栄養専門管理栄養士の条件
がん病態栄養専門管理栄養士を申請する者は,次の条件を全て満たすことを要する。
(1)日本国の管理栄養士免許を有し、管理栄養士としての人格と見識を備えていること。
(2)本学会および日本栄養士会の会員であること。
(3)申請年度分までの両会年会費を完納していること。
(4)本学会認定「病態栄養専門または認定管理栄養士」または、日本栄養士会認定「臨床栄養認定管理栄養士」を取得していること。
(5)実地修練において下記何れかを有すること。
- ①本学会が認定した実地修練施設において300時間、と自施設における実地修練時間(実地修練施設における実施修練内容に準拠し、自施設内で700時間、がん患者のケアにあたること)700時間の合計1,000時間の実地修練を修了していること。
- ②がん診療連携拠点病院またはNST実施施設で、過去3年間において継続して年間1,000時間以上、がんの治療と栄養管理に係る医師のもとに、がんに関わる栄養管理・栄養指導に従事し学会が指定する300時間の実地修練と同等の実務に従事したもの。
(6)実地修練施設で行ったがん患者の栄養管理実績のうち下記の5症例を有すること。 以下A区分より3分野4症例、B区分より1症例
A:
①呼吸器がん、頸頭部・口腔がん、脳腫瘍
②消化管がん(食道、胃、大腸)
③肝胆膵がん
④婦人科がん、泌尿器科がん、乳がん
⑤内分泌系がん(副腎、甲状腺など)、血液がん、その他
B:
①緩和ケア
②在宅医療
(7)本学会および日本栄養士会が認定する、がん領域の認定単位を30単位以上取得すること。単位取得の方法と単位数は、“申請・更新細則”に別途定める。