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制度規約
日本病態栄養学会認定
肝疾患病態栄養専門管理栄養士制度規約
目次
- 第1章 総則
- 第2章 肝疾患病態栄養専門管理栄養士の受験と更新申請条件
- 第3章 肝疾患病態栄養専門管理栄養士の申請と認定方法
- 第4章 肝疾患病態栄養専門管理栄養士の資格の喪失と取消し
- 第5章 肝疾患病態栄養専門管理栄養士の更新条件
- 第6章 肝疾患病態栄養専門管理栄養士更新の申請と認定方法
- 第7章 制度規約の改廃
- 第8章 補則
第1章 総則
- 第1条
- (目的と意義)
本邦では2009年に肝炎対策基本法が制定され、肝炎医療機関の整備とともに、医師その他の医療従事者の育成が定められている。慢性肝炎およびその持続により生じる肝硬変では、様々な栄養的インバランスおよび合併症が生じる。そして病態に応じた栄養介入、栄養支援が肝硬変の予後改善および肝細胞がんの発症予防に有用である様々なエビデンスがみられている。一方、肝硬変とそれを取り巻く病態は複雑であり、患者個々により異なっている。肝硬変患者におけるアンモニア値のコントロールは、蛋白不耐症を考慮しながら、分岐鎖アミノ酸(BCAA)の投与量と食事に含まれるタンパク質量のバランスをリアルタイムで調整する必要がある。2020年に改訂された肝硬変診療ガイドラインでは、蛋白低栄養や肝予備能の低下、サルコペニアなどの栄養状態の評価を包括的に行い、就寝前軽食(late evening snack:LES)の早期導入やBCAA投与等の食事療法・指導を継続的に行い、定期的に見直すことが栄養療法フローチャートでも積極的に推奨されている。病態を把握し、適切な栄養介入、栄養支援を行うためには、肝疾患に対する専門知識を有する管理栄養士の育成と、そのスキルを最大限に活かすための肝臓専門医との診療連携体制の構築がきわめて重要である。また、現代の肝臓病とも言われる脂肪肝、とりわけNAFLDおよび NASHへの治療対応は急務であるが、治療は栄養療法が主体となり、肝疾患の病態を理解した上での栄養介入、栄養支援が予後に影響する。
肝炎対策基本法に基づき指定された、全国の肝疾患診療連携拠点病院においても、肝疾患に対して適切な栄養支援ができる管理栄養士を育成する施設は十分ではない。肝疾患専門医療機関を含むすべての施設において、肝疾患に対する栄養介入、栄養支援の技能を均てん化する必要がある。また栄養士の肝疾患に対する理解と病態の把握について啓発が必要であり、肝臓専門医も栄養管理に対する知識と理解を身につけることで、互いの積極的な診療連携が進めば、多くの肝疾患患者における予後改善につながることが期待される。拠点病院に設置されている肝疾患相談・支援センターおよび肝炎医療コーディネーターとの連携により、患者および地域住民に、介護、在宅療養を含めて栄養管理の重要性を啓発することも必要である。
これらを円滑に行うためには、肝疾患に関する高度な知識と専門技術を有する管理栄養士が必須である。日本病態栄養学会(以下、本学会)では、既に病態栄養専門(認定)管理栄養士(旧名:病態栄養専門師)の資格認定制度を確立し、栄養管理・栄養療法に関する幅広い知識と技術を修得した管理栄養士の育成を図ってきた。さらに、肝硬変、NAFLD/NASHをはじめ、増加している肝疾患患者に対応するために、肝疾患の栄養に関する専門職としての栄養管理・栄養療法に関する高度な知識と技術を取得した病態栄養専門管理栄養士の育成とチーム医療への連携強化を目的とし、肝疾患病態栄養専門管理栄養士制度を策定し、認定を開始する。これにより、肝疾患に対する治療としての栄養療法を確立することを目的とする。その結果、国民の肝疾患に対する予防・治療・ケアに食と栄養の面から寄与することが可能となり、肝疾患診療の質の向上と、医療の適正化が図られることが期待される。 - 第2条
- (名称)
前条において認定する専門管理栄養士は、肝疾患病態栄養専門管理栄養士、英文ではCertified Specialist of Registered Dietitian for Liver Diseases(略称CSRDLD)と称する。 - 第3条
- (肝疾患病態栄養専門管理栄養士制度合同委員会の設置と業務)
本学会と共同認定団体である日本栄養士会および日本肝臓学会は、この制度の維持と運営に当たるため、肝疾患病態栄養専門管理栄養士制度合同委員会(以下合同委員会)を設け、肝疾患病態栄養専門管理栄養士の審査・認定・更新業務を行う。なお、合同委員会の業務内容は、本委員会運営規定に別に定める。
- 第4条
- (委員の選出)
本学会と共同認定団体である日本栄養士会および日本肝臓学会で構成する肝疾患病態栄養専門管理栄養士制度合同委員会は15名で構成され、以下のとおり選出する。 -
- 本学会から推薦された者7名
- 日本栄養士会から推薦された者4名
- 日本肝臓学会から推薦された者4名
- 第5条
- (委員長および副委員長の選出)
-
- 委員長は本学会の委員より1名選出する。
- 副委員長は本学会、日本栄養士会および日本肝臓学会からの委員より各1名選出する。
- 第6条
- (委員会の招集と開催)
-
- 委員長は、必要に応じて委員会を招集し、議長となる。
- 委員会は、委員数の過半数が出席しなければ開くことができない。正当な理由のため、委員会に出席することができない委員は、予め通知された議案について、議長もしくは他の委員を代理人として決議を委任することができる。委任状をもって予め意思表示をした委員は出席者とみなす。
第2章 肝疾患病態栄養専門管理栄養士の受験と更新申請条件
- 第7条
- (受験条件)
- 肝疾患病態栄養専門管理栄養士の受験を申請する者は、次の条件を全て満たすことを要する。
- 日本国の管理栄養士免許を有し、管理栄養士としての人格と見識を備えていること。
- 本学会および日本栄養士会の会員であること。
- 申請年度分までの本学会および日本栄養士会の両会年会費を完納していること。
- 本学会認定「病態栄養専門管理栄養士」または、日本栄養士会認定「認定管理栄養士」を取得していること。
- 肝疾患病態栄養専門管理栄養士セミナーを1回受講していること。
- 肝疾患に関わる栄養管理・指導に、通算1,000時間以上従事していること。厚生労働省が認める肝炎医療コーディネーターの資格を有していることが望ましい。
- 肝疾患患者の栄養管理実績のうち下記何れかを有すること。
1.下記の中から2症例を有すること。
①急性肝炎、劇症肝炎
②ウイルス性慢性肝炎(B型肝炎、C型肝炎)
③非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)/非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
④アルコール性肝障害
⑤自己免疫性肝疾患(自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎など)
⑥鉄・銅代謝異常(ヘモクロマトーシス、ウイルソン病など)
⑦薬物性肝障害
⑧肝硬変
⑨門脈圧亢進症
⑩急性および慢性肝不全、肝移植術前後
⑪肝細胞がん2.厚生労働省が認める肝炎医療コーディネーターの資格を有しその活動を有しているもの*1。
注*1活動内容については報告書を作成し提出する。 - 本学会および日本栄養士会が認定する肝疾患領域の認定単位を20単位以上取得すること。単位取得の方法と単位数は、“申請・更新細則”に別途定める。
- 第8条
- (更新条件)
-
1. 肝疾患病態栄養専門管理栄養士の更新を申請する者は、次の条件を全て満たすことを要する。
認定期間は5年間とし、5年毎の更新とする。- 日本国の管理栄養士免許を有し、管理栄養士としての人格と見識を備えていること。
- 本学会および日本栄養士会の会員であること。
- 申請年度分までの本学会および日本栄養士会の両会年会費を完納していること。
- 本学会認定「病態栄養専門管理栄養士」または、日本栄養士会認定「認定管理栄養士」を取得していること。
- 肝疾患病態栄養専門管理栄養士セミナーを1回以上受講していること。厚生労働省が認める肝炎医療コーディネーターの資格を有していることが望ましい。
- 肝疾患患者の栄養管理実績のうち下記何れかを有すること。
1.下記の中から2症例を有すること。
①急性肝炎、劇症肝炎
②ウイルス性慢性肝炎(B型肝炎、C型肝炎)
③非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)/非アルコール性脂肪肝炎(NASH)
④アルコール性肝障害
⑤自己免疫性肝疾患(自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎など)
⑥鉄・銅代謝異常(ヘモクロマトーシス、ウイルソン病など)
⑦薬物性肝障害
⑧肝硬変
⑨門脈圧亢進症
⑩急性および慢性肝不全、肝移植術前後
⑪肝細胞がん2.厚生労働省が認める肝炎医療コーディネーターの資格を有しその活動を有しているもの。*1。
注*1活動内容については報告書を作成し提出する。 - 本学会および日本栄養士会が認定する肝疾患領域の認定単位を40単位以上取得すること。単位取得の方法と単位数は、“申請・更新細則”に別途定める。
2. 更新手続き猶予期間
認定期間満了日までに更新手続きができない認定者に対しては、本人の申し出により認定期間満了日から1年間に限り更新猶予期間を認める。この場合、本委員会所定の様式により“更新猶予願い”を、更新手続き時に提出しなければならない。この場合の認定期間は4年間とする。
妊娠・出産に伴う休暇期間および海外留学期間など止むを得ない事情のある場合には、その事情の証明書と本人からの理由書を本学会に提出し、承認が得られれば、その期間を更新手続きの期間から除外することができる。
第3章 肝疾患病態栄養専門管理栄養士の申請と認定方法
- 第9条
- (受験申請書類)
- 肝疾患病態栄養専門管理栄養士認定を受験する者は、次の書類を委員会に提出する。
- 認定試験受験申請書
-
- 受験申請書・履歴書(本学会申請書類の所定様式)
- 本学会認定「病態栄養専門管理栄養士」または日本栄養士会認定「認定管理栄養士」認定証(写)
- 肝疾患に関わる栄養管理・指導に、通算1,000時間以上従事している者
- 2症例報告(本学会申請書類の所定様式)または、厚生労働省が認め各都道府県より発行されている肝炎医療コーディネーター修了書(写)とその活動内容
- 取得申請単位計算書
- 申請単位の取得を証明する書類(指定講習、セミナー等の受講証や学会発表抄録、論文など別途細則に定める対象活動)
- 第10条
- (受験・審査料)
- 委員会は年1回申請書類および症例と試験によって審査を行う。
受験申請料は20,000円(税込)とする。 - 第11条
- (合否判定)
- 委員会は審査に基づき合否を判定して本学会理事長および日本栄養士会会長、日本肝臓学会理事長に報告する。各団体は理事会の承認を経て委員会より受験者本人に合否結果を通知する。
- 第12条
- (認定証の交付)
- 合格者に対して、認定証を交付する。
認定日は翌年4月1日とし、認定期間は5年間とする。
第4章 肝疾患病態栄養専門管理栄養士の資格の喪失と取消し
- 第13条
- (資格の喪失)
-
肝患病態栄養専門管理栄養士は、次の理由によりその資格を喪失する。
- 日本国の管理栄養士免許を取り消されたとき
- 肝疾患病態栄養専門管理栄養士を辞退したとき
- 本学会および日本栄養士会を退会または、会員資格を喪失・除名したとき
- 肝疾患病態栄養専門管理栄養士の認定を更新しないとき
- 本学会「病態栄養専門管理栄養士」または日本栄養士会「認定管理栄養士」認定の更新をしないとき、または認定資格を喪失したとき
- 第14条
- (資格の取消)
-
本学会および日本栄養士会は、次の理由により委員会、理事会の議を経て認定の資格を取り消すことができる。
- 申請書類に虚偽が認められたとき
- 肝疾患病態栄養専門管理栄養士として相応しくない行為が認められたとき
第5章 肝疾患病態栄養専門管理栄養士の更新条件
- 第15条
- (更新要件)
-
1. 次の条件を全て満たすことを要する。
- 本学会および日本栄養士会の会員であり、更新申請年度分までの両会年会費を完納していること。
- 受験申請時に提出した本学会認定「病態栄養専門管理栄養士」または、日本栄養士会認定「認定管理栄養士」の資格を更新していること。
- 肝疾患病態栄養専門管理栄養士セミナーを1回受講していること。厚生労働省が認める肝炎医療コーディネーターの資格を有していることが望ましい。
- 5年間に新たに、第2章第8条の(6)に掲げる肝疾患患者の栄養管理実績2症例 または、厚生労働省が認め各都道府県より発行されている肝炎医療コーディネーター修了書(写)とその活動内容を提出すること。
- 更新単位を40単位以上取得すること。単位取得の方法と単位数は、“申請・更新細則”に別途定める。
-
2. (更新猶予)
認定期間満了日までに更新条件を満たしていない場合の取扱いは次の通りとする。
- 認定期間満了日までに更新手続きができない認定者に対しては、本人の申し出により認定期間満了日から1年間に限り更新猶予期間を認める。この場合、所定の様式により“更新猶予願い”を更新手続き時に提出しなければならない。
- 翌年の更新申請に合格した認定者の更新認定期間は4年間とする。
- 更新猶予期間中は、肝疾患病態栄養専門管理栄養士を呼称することはできない。
- 妊娠・出産に伴う休暇や傷病による休職および、海外留学など止むを得ない事情のある場合は、その証明書と本人からの理由書(任意書式)を本学会に提出し、承認が得られれば、当該期間は認定期間から除外することができる。
第6章 肝疾患病態栄養専門管理栄養士更新の申請と認定方法
- 第16条
- 更新を申請する者は、次の書類を委員会に提出する。
-
- 委員会所定の更新申請書類一式
①更新申請書
②取得更新単位計算書
③更新単位の取得を証明する書類
(肝疾患病態栄養専門管理栄養士セミナー受講証、厚生労働省が認め各都道府県より発行されている肝炎医療コーディネーター修了書、その他の講習、セミナー等の受講証や学会参加証の写し、学会発表抄録、論文など別途細則に定める対象活動を証明できる書類) - 受験申請時に提出した本学会「病態栄養専門管理栄養士」または、日本栄養士会「臨床栄養認定管理栄養士」認定証の写し(更新申請時に有効なもの)
- 第2章第8条の(6)に掲げる肝疾患患者の栄養管理実績2症例または、厚生労働省が認め各都道府県より発行されている肝炎医療コーディネーター修了書(写)とその活動内容。
- 委員会所定の更新申請書類一式
- 第17条
- (更新審査料)
- 委員会は更新申請書類により審査を行う。
更新申請料は20,000円とする。 - 第18条
- (更新合否判定)
- 委員会は審査に基づき合否を判定して本学会理事長および日本栄養士会会長、日本肝臓学会理事長に報告する。各団体は理事会の承認を経て委員会より更新申請者本人に合否結果を通知する。
- 第19条
- (更新認定証の交付)
- 更新合格者には新たな認定証を交付する。
更新期間は、前認定期間満了日の翌日(4月1日)から5年間とする。 - 第20条
- (制度等に関する告知)
- 本制度等の告知は、本学会および日本栄養士会のホームページ等によって告知する。
第7章 制度規約の改廃
- 第21条
- (制度規約の改廃)
- 本制度規約の改廃は委員会で審議し、本学会理事会の議を経て承認を受けなければならない。
第8章 補則
- 第22条
- (制度の施行)
- 本制度規約は、2023年5月28日から施行する。
- 第23条
- (規約施行細則)
- 本制度規約施行についての細則は別に定める。
- 第24条
- (更新施行細則)
- 肝疾患病態栄養専門管理栄養士等の更新に関する施行細則は別に定める。
附則
- 前項の認定および更新の条件は2年毎に見直すことができる。