会長挨拶
第20回日本病態栄養学会年次学術集会を、
2017年1月13日(金)・14日(土)・15日(日) の3日間、京都国際会館において開催させていただくにあたり、 ご挨拶させていただきます。
近年、予防医療や介護の分野において栄養学の重要性がなお一層強く認識 され、「くすり」のみならず、「栄養」の重要性が叫ばれるなか、 さまざまな疾患の病態に適した栄養療法を科学的根拠にもとづき議 論し、実践できる臨床医や管理栄養士のニーズが高まっています。 このような背景から、日本病態栄養学会では、 従来の病態栄養専門医・指導医制度、 病態栄養認定管理栄養士制度に加え、 より高度な栄養療法の実践が可能な専門管理栄養士の育成事業を日 本栄養士会や関連学会参画のもと開始し、対応を加速しています。
さらに超高齢社会をむかえ、糖尿病や腎臓病など複数の基礎疾患を多くかかえる高齢者の激増を 背景に、病態栄養学に精通した臨床医や管理栄養士が、 看護師や薬剤師など多職種と連携してテーラーメイドな栄養療法を 実践することも求められています。これを受け、2015年、 国内12団体からなる栄養療法協議会が発足し、 疾患毎に策定された従来の栄養療法に関するガイドラインにもとず く治療法だけでなく、 患者がかかえる複数の疾患の病態を統合的考慮して最適な栄養療法 を実践するための議論を始めています。特に、2015年、 日本病態栄養学会は、日本医学会への加盟が認められ、今後、 さまざまな疾患の予防や治療において、 関連学会との連携した活動の展開が一層期待されています。
このような趨勢を踏まえ、病態栄養学に関心のある医師、管理栄養士にとどまらず、医療スタッフ、 介護スタッフの方がひとりでも多く本学術集会に参加し、 最新の知識を学び、 日常の臨床や介護の現場で活用いただくと共に、 積極的な演題発表や議論を通じて、 わが国の病態栄養学の発展に貢献いただきたいと思います。また、 今回、全国の医師養成機関、 管理栄養士養成機関にも幅広く学術集会を案内させていただきまし た。将来、医師や管理栄養士を目指す学生の皆さんが、 多職種が一堂に会する本学術集会に学び、 実臨床で活躍する先輩達と議論することで、 臨床医や管理栄養士としての将来の活動に活かしてほしいと思いま す。
今回は、第20回の記念大会でもあります。日本病態栄養学会年次学術集会は、1998年、 大阪で研究会として約200名の参加者と共に始まりました。 以後、毎年会を重ねるごとに参加者の数も増え、昨年はついに5、 000人にもとどく参加者が一堂に会するまでに成長しています。 本記念大会に参加されたすべての皆さんにとって、 冬の京都の3日間が実りあるものになるよう、事務局一同、 鋭意準備に邁進しております。 皆様のお越しを心からお待ちしております。